2018年8月23日木曜日

ロボットのはんだ付けの手順

こんにちは。今回はマイクロマウス基板の私流のはんだ付け手順について書いていきたいと思います。
(この記事は初めてプリント基板に挑戦し、部品をはんだ付けする人に向けての内容です。あくまで私はこうしているという一意見です。)

はんだ付けに手順なんてあるの?っという話ですが手順良くはんだ付けしていくことで、はんだ不良などの原因を簡単に見つけることができます。


さて、マイクロマウスの基板は主に以下のような役割でまとまっていると思います。
・電源
・センサ(壁センサ・ジャイロ・エンコーダ)
・モータ
・マイコン
これらを順番にはんだ付けしていきます。



1.電源
この中でまず電源部からはんだ付けしていきます。
マイクロマウスであればリニアレギュレータやDCDCコンバータなどのICまわりです。
電源スイッチやリポをつなぐコネクタもはんだ付けします。小さな部品からはんだ付けしていきましょう。
この時、電源確認用のLEDなどを基板に実装していると電源がONになっているか、ちゃんと電圧が出力されてるかが確認しやすいです。私はロボットの頭に電源確認用LEDがついています。

電源周りのはんだ付けが終わったら電源をつなげる前にまずテスターの通電チェック機能でミスがないかチェックします。
チェックポイントは「GND」 、「電源+」、「レギュレータOUT」の3か所です。それぞれがほかの端子とショートしていないか必ず確認をしてください。

ショートの確認が終わったらようやく火入れです。電流制限付きの電源装置などでの火入れを推奨します。基板の電源を入れた状態で「電源電圧」、「レギュレータOUT」から正しい電圧が出力されているかをテスターで確認します。

また、電源を入れたときレギュレータからの出力電圧が発振している場合がたまにあります。これはオシロスコープなどで出力波形を見るしかないですが、基板から高周波が聞こえて発振に気がつく時があります。その時は波形を確認して回路を再構成しましょう。
(スイッチを入れたら高周波が鳴り出して面白い?)


2.マイコン
次はマイコンをはんだ付けします。はんだ付け難易度が高いジャイロセンサからはんだ付けする方がいいという考え方もありますが、初級者が初めて回路を組んだ場合正しくマイコンに書き込みをできる回路かどうかをチェックするほうが優先度が高いと考えました。

※マイコンのはんだ付けではマイコンの向きに注意してはんだ付けしてください。

そのあと、周りのコンデンサや抵抗、セラロックなどはんだ付けします。セラロックはなるべくマイコンに近い場所に配置してください。また、この時の抵抗やコンデンサがしっかりついていないと書き込みができない原因になります。

マイコンのはんだ付けが終わりPCとの通信用のピンを付け終わったらいよいよ書き込みチェックに入ります。

(はんだ付けを一度したら「GND」 、「電源+」、「レギュレータOUT」の3か所を毎回通電チェックしてください。)

1発で書き込めることが理想ですが初級者だとそんなに上手くいくことのほうが少ないです。書き込みができなかったときはテスターで正しくピンが通電してるかをチェックします。

(Renesasマイコン RX6XXシリーズの場合)
・テスターでマイコンのTXD、RXD、GNDが正しく書き込み側までつながっているかをチェック
・TXD、RXDがちゃんと交差しているか
・リセットピンのプルアップ抵抗、リセットスイッチを付けれいる場合は正しくついているか
・マイコンのVCCとGNDのはんだ付け、USBやADの電源がついていなくても書き込める
・MD端子のプルアップ抵抗と書き込みモード時GNDに落ちているか
・PC7のプルダウン抵抗
・セラロックが正しくはんだ付けできてるか
・マイコンの向きはあっているか
・プルダウン、プルアップの抵抗値は正しいか
・コンデンサと抵抗を間違えてつけていないか

※通電をチェックするときはパットではなくピンの足にテスターを当ててチェックしましょう。

この段階でクロック設定、I/O設定、CMT設定などをしてLチカやコンソールに文字出力ができるかチェックします。


3.ジャイロセンサ
マイクロマウスの部品でおそらく一番はんだ付けが難しいのはジャイロセンサだと思います。ジャイロセンサといっても人によって使っているICはバラバラなので一概には言えませんが、私が使っているInvensenseのデジタルジャイロはどれもはんだ付けが難しいものばかりです。今回下の画像の紫基板にのっているセンサはICM20602です。ICのサイドからパットが出ていないLGAなのではんだ付けがさらに難しいです。

失敗例としてジャイロのはんだ付けを繰り返しているうちに基板のパットをはがしてしまうというものがあります。このはがしてしまったピンが重要なピンの場合は頑張ってUEWで配線するか基板の取り換えとなります。ジャイロのはんだ付けは焦らず落ち着いてやりましょう。

今回はLGAのICを実装するということでヒートガンを使いました。予備はんだをして数秒あてるだけであとは表面張力できれいにくっついてくれました。実際にマイコンで各速度も取得できました。



4.壁センサ、モータ、エンコーダ
これ以降は好きな順番にとりけていきます。最近のモータードライバは小さくてはんだ付けが難しいのもおおいのでそういうものを選定した場合、優先的につけたほうがいいです。

コネクタなどは大きくて先に着けてしまうとはんだごてで誤って溶かしてしまう場合があるのでなるべく最後の方につけましょう。

そしてできる限りプログラムでセンサが動作しているかを確認しつつ部品を実装するよう心がけましょう。センサが動かない原因を突き止めるときに楽になります。



以上のような流れで部品を実装していきました。下の画像がすべての部品がのった状態です。この流れは絶対ではないですし、私も場合によって入れ替えたりもします。



今回は一般的なマイクロマウスのはんだ付け手順(私流)を紹介しました。この記事はこれからロボットを作るサークルの後輩の皆さんに参考にしていただければ幸いです。